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しろちち@コミケ98新刊BOOTHにて展開中
漫画版ナウシカの名台詞の一つとして知られるヴ王の「失政は政治の本質だ!!」。ここだけ切り取ると暴君の開き直りでしかないのだが、よくよく前後を見ると、ナウシカとは別角度ながら、この世界の黒幕(墓所)の本質をよく突いているのである。というわけで以下少し補足したい。
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返信先: @shirochichi0707
この前段でヴ王は墓所の主の偉大さを説ヒドラ(人造人間)に対し不信を顕にしている。墓所のもつテクノロジーを分けてやるから協力しろ?今までの庇護者が消滅した途端に随分調子がいいではないか、と。これに対するヒドラ達の答えは「我々を擁護する限りは協力する」で、実は答になっていない。
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返信先: @shirochichi0707
そこで更に王は問う。では何故今までの庇護者は滅びたのか?と。それに対する答えが「失政」、つまり土鬼王の自滅であり、我々のせいではないと。これまた見事な責任転嫁である。
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返信先: @shirochichi0707
恐らくヴ王の逆鱗に触れたのはこの点である。生命すら操る旧世界の技を独占する、神の如き存在を自称しながら、たかが失政すらカバーできないのか?人間は完全ではなく、人間が行う政治も当然に失敗することがある。その意味で失政は政治の(或いは人間の)本質である。それを救済できない存在が神?
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返信先: @shirochichi0707
もしソレが真実であればとんだ虚仮脅しだし、実際にはその力がありながら先の庇護者を見捨てたのだとすれば、墓所の主とやらの真の意図は何なのか。ヴ王の一見理不尽な逆切れがこうした思考に基づくことは続く台詞でもうかがえる。いわく「王が要るならもっと気の利いた条件を示すがいい!!」と。
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返信先: @shirochichi0707
この後にナウシカと墓所の主の対話が続くが同じようにナウシカも主の欺瞞を見抜き真実を語れ!と迫るのである。そう考えれば主の声を聞くナウシカの不快感あらわの表情と「否!」の叫びは先のヴ王の反応に重なってくるのである。
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返信先: @shirochichi0707
かくてナウシカと墓所の主の対話(対決)後、ヴ王はナウシカの側につく。それどころか思いっきり肩入れし、最後には自身の命すら賭けるのだが、かかるベタぼれぶりも、ヴ王とナウシカの見る世界・考えが一致した(少なくともヴ王はそう感じたから)こそであろう。
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返信先: @shirochichi0707
因みにヴ王が名君かと言えばやはり暴君に近い。本作の背景となる「トルメキア戦役」を引き起こした張本人であり、子供たちを常に疑い、自らクシャナ暗殺を命じさえした。墓所の主が嫌う、「愚かで醜い人間」の代表とさえいえる人物であるとさえ言えるかもしれない。
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返信先: @shirochichi0707
だが同時に自身の愚かさに自覚的でもあった。常に道化を傍に置き、自らについてすら辛辣に批判させながら咎めず、最期には自身の遺言の証人にまで指名したことがその証左である。
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返信先: @shirochichi0707
そんな自身(と自身を含む人間全体の)愚かさに自覚的であったからこそ、墓所の主の欺瞞=全能の自分を崇める限り失敗はないとする宣教の裏の意図には敏感であり、また許し難いものがあったのであろう。人間の愚かさを切り捨てておいて何が救済だ?と。
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返信先: @shirochichi0707
こうしたヴ王の人間観が出ているのが、最終盤。墓所に保管されていた「人間の卵」…世界浄化後に孵化する理想の新人類の破壊を前に、ナウシカが躊躇う一方で、ヴ王が「そんなものは人間とはいえん」と言い放つ場面であろう。流石は王の器である。
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返信先: @shirochichi0707
最期にヴ王はナウシカを庇い、墓所の断末魔の攻撃を受けるのだが、王はその時に彼女を「破壊と慈悲の混沌」と呼ぶ。墓所の誘惑を否定・破壊する峻厳さの一方で、人間の卵や巨神兵の死を悲しむ優しさを併せ持つ。王の言うとおり「もっと早く出会えていたら」ヴ王はどんな治世を築いたのだろうか…
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返信先: @shirochichi0707
以上、長々とツイートしましたが、ヴ王という「悪役」の魅力について一部でも伝われば幸いです。漫画版ナウシカでは土鬼皇帝のミラルパ・ナムリス兄弟なんかも実に魅力的ですので、論点がまとまったらまたツイートしてみたいですね。
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返信先: @shirochichi0707
【御礼】多くの方にツイート読んで頂き、また「漫画を読み返したい」というリプも頂き感無量です。大好きな作品の布教に貢献できるのは嬉しいですね。 以下宣伝。「異端審問官城」というサークル名でビザンツ史と金沢城研究の本を出してます。BOOTHで頒布中なのでGWに是非♪